大切にしていること

前野幼稚園が大切にしていること

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「集団」「遊び」「リトミック」の学びをとおして、子どもたちが共に育つことを大切にしています。そして、子どもの育ちをとおして、親も共に育つことができることを願っています。
人は人と関わらなければ生きていけないと言ってもいいでしょう。子どもたちは、エネルギーあふれる遊びのなかで、人との関わりをもち、さまざまなことを学んでいきます。時には思いをぶつけてけんかをし、我慢もしながら「社会」を築いていきます。
私たちおとながすべきことは、子どもがけんかをしないようにすることや、危ないことをすぐに禁止することではありません。子どもが学びから得る楽しい経験だけではなく、ちょっぴり苦い経験も取り払ったり奪ったりせず、温かく見守り援助することで、子どもはよく考えるたくましい姿に成長していきます。
私たちは、子どもたちが集団のなかでたくさんの「共感」を味わい、「そうぞう力」を育めるような環境作りを心がけていきます。そして大勢の「他」の中で、しっかりと「自」を見つめ、「他」を見つめられる強い心を子どももおとなも築いていけるような幼稚園を目指しています。

教育方針

毎日の園生活において、園児を個人として尊重し、それぞれの個性を重視し、 この発達を助長することを基本とする。

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<前野幼稚園のリトミック>

前野幼稚園では毎日すべてのクラスでリトミックを取り入れておこなっています。
まずは、リトミックの動画の一部を楽しんでご覧ください(令和5年度撮影)。最後に歌もあります。


 リトミックとは「音楽をとおして得られる人間教育」(5領域を満たすもの)です。一般的に行われている「おゆうぎ」は、音楽に合わせて決まった動きを繰り返すものです。一方で、「リトミック」はピアノを弾きながら、教師がその時に子どもの息を感じて指示を出し即時反応(見て、聞いて、理解したことを実際に表現)するものなので、「よく聴いて考えて体を動かす表現活動」であると言えます。ピアノの音が止まったら体の動きも止める、高音が鳴ったら上で手を鳴らす、低音では下で手を鳴らす、触れ合いの曲では2人組や数人組になり、自分ですぐに近くの子を探してグループを作る(自分から輪の中に入る主体性、あぶれてしまった時の悲しい気持ち、反対に入れてもらえた時のうれしい気持ちなどいろいろな気持ちの体験)、指示された箇所をお互い触る、ピアノの曲で動植物や自然の物になりきって身体表現するなど、さまざまな楽しい体験を積み上げます。
 あらゆる活動の中で、自分と他者とは違うことを知り、自分を表現したり他者の表現を認めたりできる「自尊他尊」ができていくことでしょう。リトミックはよく聴いていなければできませんが、裏を返せば、よく聴いていれば誰でもできるものです。日常からリトミックを使うことにより、「できた」という成功体験を実感し、小さな達成感の積み重ねが大きな自信へとつながっていくことになります。「知ってる、そんなのできる」と思ったのに間違えてしまうという体験によって、頭でっかちにならず実行することの難しさ(自分ができる身の丈)を知ることができ、心と身体のバランスを整えていきます。リトミックをとおして、想像力・観察力・集中力・記憶力・思考力・予測力・主体性・コミュニケーション能力を培い、他者との関わりをとおしたさまざまな体験や気持ちのめばえが充実できるように配慮した教育活動に取り組んでいます。
 幸せになるための具体的活動であるリトミック。「リトミックをしていればいいことあるよ」の精神で、子どもたちにとってよりよい体験になりますよう職員一同心を込めて実践してまいります。

園の特徴  「バランスのよい保育・教育活動」

当園は「〇〇式保育」「自由保育」といったことに偏ることなく、主活動・リトミック・英語や体操・コーナー遊び・自由遊びなどがバランスよく組み込まれているところが特徴です。教育活動においての「つながり」を意識し、小学校までに育ってほしい姿を見据え、橋渡しをすることを念頭に教育活動をおこなっております。子どもの「考える力」、人生を下支えする「非認知能力」を高められるよう、教師は子どもたちに温かく寄り添い、よりよい言葉がけや環境設定に取り組んでおります。教師の研修も充実させ、毎年新しい目標をもって取り組んでおり、教師の質の高さも園が誇る特徴の一つです。下記記載の「前野幼稚園の教育重点目標の取り組み」もぜひご覧ください。

カリキュラム紹介

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リトミックを一言でいえば「音楽をとおして得られる人間教育」です。考えて動き、感じたことを身体全体で表現することで「そうぞう力・注意力・集中力・記憶力」などを培うだけでなく、「知っている」と「できる」は違うことを体験し、心と身体のバランスを整えます。また、リトミックを通じて幼稚園教育要領の5領域の網羅を心がけ、人間関係における育ち「共感・コミュニケーション能力・自尊他尊・小さな成功体験の積み重ねによる大きな自信・幸福感」を築いていきます。

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「セントラルウエルネスクラブ常盤台(園からバス送迎)」で専属のコーチから学びます。スイミングはバランスのいい全身運動です。泳力のレベルに合わせたグループで、水に親しみ泳ぐことの楽しさが実感できるようになります。(開始:年中~)

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全園児がホールに集まって、のの様に手を合わせます。また皆で歌を歌ったり紙芝居や話を聞いたりして楽しい時間を過ごします。

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「ジャクパ体操教室」の専属の先生から学びます。多種多様な運動あそびを体験していきます。技能の完成度よりも「体を動かすことが好き」を実感し、楽しみながら運動技能の基礎を身につけます。水曜日はクラスで牛乳をいただきます。

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全園児がホールに集まって、誕生月の園児(保護者も招待)を祝います(毎月1回)。クラスでおやつをいただきます。

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「セイハ英語学院」の専属の先生(外国人講師)から学びます。Phonics・歌・ゲーム・話など「動」と「静」の組み合わせでテンポよく楽しく英語に親しみます。

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園庭で全園児が行い、体力作りをします。

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本堂で仏教に関わる話を聞いて座禅を行います。静かに座ることで心を落ち着かせ、しっかり考える力を養います。(開始:年中~)月に一回保護者座禅(自由参加)もあります。

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音楽(ハーモニーの美しさやリズム)を感じながら楽しんで参加できるように「導入」に力を入れて取り組みます。(開始:年中~)

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月曜日と金曜日の週二回あります。幼稚園専門の給食センター「ドリームガーデンズ」の給食を皆でいただきます。一食340円(消費税などで変更あり)。長期欠席の場合は、前の月までにお知らせください。学級閉鎖日や1か月単位の長期欠席以外は返金いたしません。アレルギー対応もしています。詳細は「安心・安全」の項目をお読みください。

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保護者のかたが作った愛情たっぷりのお弁当をいただきます。夏制服期間以外は温蔵庫に入れて、温かいお弁当をいただきます。アルミのお弁当箱をご用意ください。

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クラスで牛乳を飲みます。アレルギーのかたのみ豆乳で対応しています。

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毎年、食育専門の講師を招き、各学年に合った「食育プログラム」を導入します。食育体験をとおし、子どもたちが健やかな身体で豊かな食生活を送るための基本的な能力を育てることを目的とします。

課外教室の案内(下記参照 昨年度のものです)

幼稚園の降園後に園内・園庭で行います(希望者)。
入会時期などは各教室異なります。入園後に体験などの案内をお渡しします。

ピアノ教室(月・木)、体操教室(水・金)、サッカー教室(水)、学研教室(木)、
絵画教室(金)、ヴァイオリン教室(金)

<前野幼稚園の教育重点目標の取り組み>

◎教育重点目標   
毎年、三つの「教育重点目標」を掲げ、全職員で取り組んでおります。最近の取り組みや今年度の取り組みについてご説明いたします。どの幼稚園に入るか考え中のかたには、幼稚園をお決めになる際の参考にしていただいたり、現在、当園に在籍している保護者のかたには再確認のものとしてお読みいただけたらと思います。

<最近の取り組みについて>
〇だれもが自由にのびのびと絵画や製作が取り組めるクラスオリジナル環境を設定する
  毎日の絵画製作活動では、その学年に合ったカリキュラムで「つながり」や「めあて」をもって取り組んでいます。子どもが主体的に楽しんでできるよう、導入を工夫したり、色や形・素材などを自分で選んで工夫できるように設定していますが、やはりそれでは目標に向かって作ったり描いたりする活動に目が向いてしまうものです。 手指の器用さは個人差があり、教具の使い方や持ち方・絵の具などの性質にじっくりと自分のペースで向き合う時間は意外と少ないことに気づきます。そこで、通常の絵画製作活動は継続しつつも、目標物が前面に出ない活動を意識することにしました(例1:紙をとにかく細く細く切ってみよう→子どもは細く切れるよう集中力をもって楽しむことで教具のはさみをより良く使いこなす筋力がつき、今度は切れた紙を集めて美容師ごっこを始めたりスパゲティー屋をしたりするなど主体的な遊びの展開につながる。例2:絵の具で自由に紙に描いてみよう→仕上がりの形がないことで、子どもは自由に絵の具で色と色の交わりを発見したり、筆の感触を楽しみながら描いたりし、形のある絵や形のない絵など本人が描きたいさまざまな絵画につながる)。
  このような手先を使ったいわゆる「底辺」の活動を広げることで、誰もが楽しんで取り組みながらさまざまな発見をし、教具の使い方や手先の器用さが自然に身についていくよう工夫した環境を整えています。
 
〇所作を意識して行動する
 「所作」とは「立ち居振る舞い、身のこなしを美しく行う」ことです。幼稚園の生活の中で、靴を並べたりタオルを畳んだり、さまざまな生活の活動があります。それをただ行うのではなく、心を入れて丁寧に行うことで物を大切に扱う心が育ち、落ち着いて行動することへとつながっていきます。また、「左手」や「背骨」をより意識した言葉がけをしています。製作や食事をする姿を見ると、左手がきちんと使えていないことに気づかされます。利き手だけでなく両方の手をきちんと使うこと、また背骨の作りを理解し、背骨一つ一つの上に背骨を乗せるイメージで、しっかりと背筋を伸ばした姿勢が自ら整えられるよう指導しています。背筋を伸ばすことで人の話をきちんと聞くことはもちろん、胸を張り背筋を伸ばすいい姿勢がその子の生き方(下を向かず自信をもって堂々と物事に向かっていく強い心の姿勢)へとつながっていけるよう願っています。

〇見える化の取り組みを充実させる
  抽象的な表現は、大人は理解できても子どもには理解できないことが多いです。そこで、子どもにしっかりと伝わるように、さまざまなことを見える化する取り組みを目標にしました(例1:時間の見える化として本物の時計だけでなく砂時計で示す。例2:声の大きさの見える化として大きい声はライオン・ちょうどいい声はうさぎ・小さくて聞こえない声はアリの絵を示し「今のはライオンで耳が痛かったよ」のように具体的に示す。例3:「こころキャラ図鑑」という本には「感情」のキャラが出てきます。その感情を見える化し「今の気持ちは〇〇なんだね。」というように気持ちを見える化することで自他の気持ちや感情の整理をする。例4:リトミックで強弱や音の高低などを体で表現することで見える化する)。
  子どもだけでなく教師も毎週時間を決めて、子どもの育ち、保育や教育活動の記録に取り組んでいます。記録という見える化を実践し、またそれを振り返ることで子どもへの理解を深め、さまざまな活動をよりよくおこなっていくヒントとなることでしょう。

〇非認知能力を意識し学びの芽を育て引き上げる
最近、耳にするようになった「非認知能力」とはどのような能力なのでしょうか。まずは、「非」を取った「認知能力」についてお話しします。「認知能力」とは、簡単に言えば、テストでわかる能力のことです。小学校以上のテストでは「漢字が60点だからあまり身についていない」「たし算が100点でよくわかっている」など、テストの分野ごとに「できている・いない」を測り点数化することができます。これを「認知能力」と言います。それに対して「非認知能力」とは、テストで点数化することができない能力です。具体的に言うと「自己肯定感、自尊心、自信、自律性、自立心、意欲、目標への情熱、挑戦する力、先を見通す力、計画性、創造力、想像力、理解力、勤勉性、粘り強さ、持続力、集中力、やり抜く力、積極性、達成感、好奇心、興味関心、発見する力、観察力、探究心、忍耐力、自己抑制力、感動する力、情動をコントロールする力、楽観性、社交性、コミュニケーション能力、他者への敬意、生命を尊重する心、思いやり、道徳性、秩序を守る心、協調性、連帯感、協同性、調整力、責任感 」などです。
 幼稚園の現場は、「生きる力」を育む場、まさに「非認知能力を育む場」だと言えます。前野幼稚園では、小学校以降の認知能力としての学習を先取りするのではなく、将来の学習や社会で生きていく力の一生の下支えとなる大きな力として「非認知能力」を重視して子どもと関わっています。幼児期に「認知能力」を重視し、小学校で学ぶ勉強を先取りして漢字や計算をさせても、小学校低学年のうちに幼児期に遊びを重視した子に追いつかれてしまうこと、そして高学年には学力が逆転されてしまうことが多いということが、教育界では常識になりつつあります。今後勉強したり働いたりする上で、まずはそれに向かう姿勢である「非認知能力」が備わっていなければ何も始まりません。幼児期に集団生活の学びを知り、よく遊び、熱中体験を充実させた子は、非認知能力が培われます。非認知能力が培われた子は、小学校高学年に向けてじわじわと学力が向上していくばかりでなく、今後生きていく上でその人を支え続け、その人生を有意義なものとするに違いありません。私たち教師は、集団での遊びや学びの提供を充実させるとともに、「どのような活動や働きかけ」を通じて「どのような非認知能力の向上を目指すのか」というビジョンを明確にもち、個々に合わせた「育って欲しい姿」になるためにできる活動や働きかけを心がけてまいります。

〇役割・責任感・秩序を意識した保育
 子どもたちは、本来お手伝いが大好きです。お手伝いの意欲を高め、できたことに認めと称賛の言葉がかけられることで、より満足感や達成感が味わえ、責任感も育ちます。役割や責任を果たすものとして、クラスの「当番」があります。しかし、当番が回ってくるまでには何日もかかってしまいます。そこで、一日のうちに必ず一度は役割や責任を経験させるため、グループや座席番号などで小さいお仕事を頼むようにしています。製作の折り紙などをグループの枚数分取りに行く係、ごみ拾い係などさまざまです。また、年長クラスでは、園全体のこと(図書室の本を整理整頓する係、年少児の支度お手伝いなど)もお願いしています。小さなお仕事の積み重ねで、子どもたちは満足感や充実感、責任感だけでなく、人の役に立てる喜びを実感することでしょう。
 また、子どもたちが安心して園生活が送れるよう、できるだけルーティンを意識した生活を心がけています。集団における大切なルールを基に、決まった身支度、決まった場所、決まった流れを意識することで子どもたちの情緒が安定し、安心できる環境で生活できるようにしています。いつもと違うことを行う際は、事前に説明や言葉がけを行い、落ち着いて安心して行動できるようにしています。

〇3人ルール
 現在、新型コロナ感染症の心配はありますが、放課後、保護者に少しでも園でのようすをお伝えしようと「3人ルール」を設けています。毎日担任は、必ず最低でも3人の保護者とお話しして園での子どものようすをお伝えするというものです。特に今年はコロナのことで、短い時間となってしまうことと思いますが、今後も、一日3人に園でのようすを伝える実践をしてまいります(3人以上話せる時はそれ以上のかたと話します。また保護者から話がある場合は人数に関係なくいつでも話しかけてください。3人とはあくまでも担任が毎日保護者と話す最低実践人数のことです)。当園はバス通園がありませんので、毎日保護者が担任と顔を合わせることができます。子どももバスに乗せるため降園前に集めて点呼を取ったりする時間もなく、皆が同じ時間活動できます。そのようなメリットを生かし、保護者には毎日園の雰囲気を感じていただきながら3人ルールを継続しております。

〇お話タイム・サークルタイムの実践と充実
 絵本(本)は、子どもの想像力を育み、別の世界を疑似体験できるということにとどまらず、言語・生活習慣や教育の面からも大きな影響力があるといえます。園では、できるだけ毎日、少なくとも週に最低2回は「お話」(絵本・素話・紙芝居)タイムをクラスで実践しています。教師は図書室の本にも目を通し、いいタイミングで子どもたちに提供できるように準備するとともに、環境・育ち・話し方・時期などを考慮した効果的な提供の仕方を工夫しています。皆様もご家庭で本の読み聞かせをしていらっしゃるかと思いますが、多様な方法を試してみてください。本は、教育的な見地から活用することもありますが、本が大好きな子に育てるには、単純に子ども自身が「おもしろい」と思える経験が何よりも必要です。一見、大人にとってみれば、どこがおもしろいのかわからない本でも、子どもが気に入っていれば、すてきなことだと思います。教育的要素の強い本(きれいに片付けよう、何でも食べよう、さんすうの本、など)や、本の読み聞かせの後にフィードバックや感想を強要すること(このお話はだれが出てきた?、〇〇の後どうなったんだっけ?、この本に出てきた〇〇はどうしていけなかったの? など)は、場合によっては本嫌いにさせることもありますので、加減しながら行うことが大切ですね。
 サークルタイムとは、文字の通り、クラスでいすを移動させて輪になり行う活動のことです。月に最低1回は行うことになっています。輪になり、お互いの顔がよく見られる環境で、「発表の場」「話し合いの場」「楽しい決め事の場」などを行います。具体的には、テーマに沿った発表をする、友達のいいところを発表し認め合う、クラスで起きた問題について意見を言い合う、クラスで何かを進めるにあたって楽しい内容やルールを決める、などバラエティーに富んだ活動で、話し合いの場では道徳教育を行うこともあります。小学校以降の発言力にもつながっていくことでしょう。教師は、クラス運営に効果的な場となるような内容を考慮し、充実した時間が送れるよう配慮していきます。

〇絵に関しての子どもの育ちを理解し、絵画活動の充実を図る
 絵の発達は、学術的にいろいろな考え方や区分がありますが、前野幼稚園では下記のように6つの段階について職員間で研修をしたり、実際に絵を描いてみたりしています。

① 擦(さつ)画期(がき)
  なすりつけ・こすりつけて描いた絵。特に何かを表現しようとしたのではなく、目と手の運動的快感と汚す興味でできた絵。行為を感じ確かめ実験を繰り返している。子どもの絵の出発点。
② 錯(さく)画期(がき)
 強い線や曲線で描かれたなぐり描きのような絵。「見て見て!」というが「何を描いたか」でなく「私がやったんだ」という満足の共感を求めてくる。ぐしゃぐしゃ描き・なぐり描きを十分やって満足した子は絵が好きになる。
③ 象徴期
  線のかたまりや円形らしきものを指して「りんご」とか「お母さん」と言う。丸・三角・四角など記号のようなものが象徴的に表れる。見て描いたり考えて描いたりするのではなく、偶然に思いついたことを象徴的に表す最も自己中心的な時期。目の見えない子と見える子の差は見られない。頭足画もこの時期。
④ カタログ期
  自分の知っている形がいろいろ描けるようになる。3~4歳にかけて多くの子どもはこの段階になる。大小・因果関係・つりあいがなく、木を描いたと思ったら魚を描くように、商品のカタログが並んでいるように描かれる時期。描いている時に話す子の話を聞き、共感や興味をもって質問し、たくさん描きたくなるように促すことが大切。色が間違っているなどの指摘はしない。
⑤ 図式前期
  物の形や概念が形成される。上下左右・大小バランス・因果関係が整う。大きな特徴としてベースラインがある(1本の線を引き、その上に家や木などを描く)。色も事実に基づいた写実的な絵になってくる。
⑥ 図式後期
  物と物の重なりや遠近が画面に表現され、立体的な表現が可能になる。見えたとおりに写実的に描けるようになる。

赤ちゃんの擦画期から始まり、小学校へ行く頃には図式後期へと向かっていきます。子どもにとって、絵は自分を表現する大切な手段と言えます。技術の向上や絵の評価より、描いている子どもたちの姿が生き生きしていることが何よりも大切であることを自覚したいものです。教師は、子どもたちがのびのびと表現できるよう「子どもへの言葉がけ・認め励まし合う集団・安心して表現できる環境と信頼」を重視することで、子どもたちが夢中になって取り組める楽しい時間が生まれるよう配慮していきたいと思っております。また、素材、道具、手法を考慮し、手の筋肉、体験、視覚・観察、空想や想像、生活や行事など、幅広い視点からの「めあて」をベースに絵の提供の仕方を工夫し、「夢中になる体験」ができるように考えてまいります。ホームページ「1年間の主な行事」の一番最後に「絵画製作」の項目で当園の園児たちの作品の一部が載っていますのでぜひご覧ください。

〇褒める”より“認める”言葉がけを心がける                                  
子どもだけでなく大人も、いくつになっても褒められるというのはうれしいものです。褒められることで自信がつき、また褒められた行為をこれからも積極的に行おうとする意欲にもつながります。褒めることは教育界においても不可欠です。しかし、ただ褒めればよいというものではありません。できていないのに褒めると、言葉がひとり歩きをし、本当に自分を見てくれていないということが子どもにもわかってしまい、逆効果になることもあります。また、褒める際も「できるできない」に固執したり、「いい子だね」という抽象的な性格を示す言葉で褒めると、子どもは「できない自分はだめなんだ」「自分は〇〇しなきゃ大好きなお母さん(先生)に嫌われるかも」「いい子でいなきゃだめだ」と、時には自分の心を押し殺して「大人が望む行い」を無理に演じることがあります。大人もそんなつもりで褒めたわけではないのに、結果的にお互いが苦しい思いをするのは悲しいですね。
  教育現場でも、もちろん褒めて伸ばすことを基本としています。しかし、褒めるのが義務のようになってしまい、前述のようにできていないのにうわべで褒めてはいないだろうか、また、抽象的な性格を示す言葉で褒めることが子どもを苦しめていないだろうか、と教師が自覚するのは大切なことです。そこで、特に「認める」言葉がけに重点をおくよう意識しています。しっかり返事ができたら、「すごいね」ではなく、「返事ができたね」。トイレのサンダルを皆の物もせっせと並べていたら「ありがとう。偉いね」ではなく、「ありがとう。きれいに並べているね。次の人が使いやすいね」などです。「抽象的から具体的な言葉がけ」「性格に特化した言葉は多用せず、その行為そのものを具体的に認める言葉がけ」を心がけていきます。また、その子の遊びを見て「〇〇ちゃんは、積み木が好きなんだね」のように、いい悪いでなく、その子の好きなことにも目を向け、言葉にして話しかけます。信頼関係のある教師や保護者に認めてもらうことは、自己肯定感につながり、前述の非認知能力を高めます。「できるできない」でなく、「自分は~なんだ」「自分は自分でいい」という自己肯定感への育みが支援できるようにしていきたいです。

〇進んで挨拶する
 「おはようございます」から始まる朝は気持ちがいいものですね。もちろん他にも「さようなら」「ごめんね」「ありがとう」など言葉を交わせば、声をかける人もかけられる人もいい気分になるのはいうまでもありません。挨拶は「人とのコミュニケーションのきっかけ」となります。挨拶言葉は、決まり文句ですので、言葉の育ちが遅く状況説明などが難しい子でも、挨拶の言葉なら比較的早い段階から言葉にできることでしょう。挨拶は、人間関係に潤いを与えてくれます。前野幼稚園のお母さんたちも、よく正門で「おつかれ~」と声をかけ合っているのを目にします。どんな挨拶でも、挨拶は人間関係を円滑に整えてくれます。黙っていると、怒っていなくても怒っているように誤解を受けることもあるかもしれません。
 さて、子どもたちは、決まった場所や決まった状況ではすぐに挨拶できるようになります。しかし、決まった場所でない場合や、いつもと違う状況となるとなかなか挨拶できなかったり、「自分から進んで」挨拶するのが難しい子もいます。そこで、どのような場面でも自分から進んで挨拶できるようになるように配慮や支援をしていこうと職員間で共有しています。たかが挨拶言葉でも「自分から進んで」はけっこう勇気がいりますね。しかし、それが「自己発信力」の芽生えとなり、幼稚園や今後の学校生活のなかで、困った時や必要な時に自分から発信できる、声をあげることができることへとつながっていくのです。まずは、「挨拶をされたら自分も挨拶する」から「少しの勇気を出して自分から挨拶する」へ「相手の目を見て姿勢よく丁寧に挨拶する」へとつなぎ、子どもたち自身が挨拶をすると気持ちがいいことを実感していくことができたらと思います。それらの積み重ねが、自己発信力・人の目を見て聞いたり話したりする・姿勢を整える・話すことへの土台とつながっていくことを望んでいます。保護者の皆様も、社会の場だけでなく家庭内でも気持ちのいい挨拶ができるよう実践してみてください。
 
〇“考える力”をさまざまな視点で提供する
  私たちのまわりには、たくさんの「ふしぎ」があります。園では、特にサイエンス(科学)にテーマをおいて、子どもたちの興味関心をひきつけられるような提供の仕方をしています。身の回りのふしぎに興味をもって、自ら観察したり、発見したり、また予測したりする楽しさが味わえたらいいと思います。何度も自分たちで試しながら最終的に事象を検証し、自分なりの気づきや結論、「考える芽」の育ちが援助できるように導いています。
(例1:コップの中に水を入れ、その後、子どもたちがビー玉を一つずつ入れていく。コップのフチより上に水が浮き上がっているのに、なかなか水はこぼれないのは「ふしぎ」。どうしてだろう? 例2:水に浮かぶもの浮かばないものを予測して実際に試して検証する。例3:磁石にくっつくものくっつかないものを予測して実際に試して検証する。など)
  日常の製作活動や遊び、サークルタイムの中にも、「考える力」を働かせる場面は多々あります。教師は、すべてを教えたり知識を与えるのではなく、自分でどのようにしたらいいのか考えたり、見立てをすることで想像ができるように、言葉がけに注意を払います。遊びや人間関係も、毎日の触れ合いや体験を積むなかで、必要な言葉・主張の仕方・折り合いのつけ方などが育んでいけるように見守ったり援助したりしています。

〇語彙力を広げ、自己発信力や表現力、そうぞう性を育む
  言語は、社会生活を行う上で必要不可欠なものです。人権を守るのは言語能力といっても過言ではありません。言葉の育ちには個人差がありますが、泣くことで大人を呼んだり、我を通したり、逃避したりするのではなく、その時に応じた必要な言葉を一緒に考えたり、教えたり、練習したりしています。自己発信が難しい子には、段階的に援助し、最終的には直接相手に発信できるように促しています。言語を獲得し、語彙を増やし、それを上手に使えるようになっていくと、自分の伝えたいことが伝えられたり、人が言いたいことが汲み取れたりし、人との関係性もよりよいものとなるでしょう。
  紙芝居・絵本・素話・わらべ歌などからも、昔ながらの語彙や表現の違いが学べます。幼児期においては、特に名詞を意識して紹介したりリトミックなどにも取り入れて、さまざまな語彙に触れ、その美しさやおもしろさを感じられるようにしています。その他、気持ちを表す形容詞、状況を説明する動詞や、まとまりのある文としての物語づくりや替え歌づくりなど、楽しんで活動しています。また、歌や製作などからも、多方面からのアプローチの仕方を工夫し、語彙を広げたり確認したりしながら進めています。
 
〇“失敗”をさせないのではなく、“失敗からの第一歩”が踏み出せるよう、見守ったり援助したりする
  私たち大人は、子どもができないことをすぐにやってあげたり、先回りして知識や要領を伝え、物事がスムーズに進むよう環境を整えすぎてしまうことがあります。しかし、それでは失敗しない、いや失敗できない子どもに育ててしまうばかりか、子どもが自ら獲得する「学びの芽」を奪ってしまうことになりかねません。
  日常おこなっている製作活動の場面でも、よく失敗があります。話を聞いていなかったから間違えるということもありますが、一生懸命話を聞いて自分なりに取り組んでいたのに、紙が破れてしまったなどということはよくあることです。そうした場面において、教師はすぐに「あ、紙が破れてしまったの?大丈夫だよ。新しい紙あげるね。」という指導はいたしません。まずは、すぐに声をかけるのではなく、子どもからの発信を待ちます。発信を見守ったり手助けしたりした後は、どうしてこうなったのか、そしてどうしたらいいのかを子どもと一緒に考えます。よほどのことがない限り、新しい紙をあげて失敗をなかったことにするのではなく、破れた紙をテープで貼ったり修正して、失敗したところから自分の作品が完成できるように励まして導いていきます。
  「失敗は成功のもと」「失敗は成功の母」という力強い言葉があります。失敗にすぐにめげることなく、子どもが自分の作品と向き合って最後まであきらめずに作り上げていけるよう、サポートしたいと思います。自分で考えたり、修正したり、観察・発見したものは「かけがえのない宝」となります。教師は子どもの学びの芽を摘んでしまうことがないよう見守ったり、興味の種まきをしたり、刺激を与えたり、ヒントとなる言葉がけをしたりすることによって、考える力を伸ばし、失敗にも負けないたくましい心が育つよう応援しています。

<令和5年度の教育重点目標について>
〇「環境」をとおして充実した教育活動および保育の質の向上を心がけよう。
〇五感や体験を生かした導入のアプローチをしよう。
〇進化しよう。

◎「親としての姿勢」についてお願いしていること
※子は親の姿を見て成長します。前野幼稚園では、以下のことを保護者の皆様にもお願いしております。
・挨拶は基本です。大きな声でしっかりしましょう。お子さんが社会性を身につけるのに大事です。
・親が子の手本となるよう、約束やルールを守り、社会規範を意識しましょう。子どもがいけない事をしたときはまず気持ちを受け止め、子どもがわかるように真剣に一貫した態度で叱ってください。
・子どもは集団のなかで育ち合いをします。幼稚園の集団生活では楽しいことはもちろんですが、ケンカや少しほろ苦い学びもあります。育ち合うにはどの子もかけがえのないメンバーです。「あの子は乱暴」「いつもけんかになる」など親の主観で育ち合いが妨げられることがないよう、集団の中での学びを尊重し、小学校に入る前の幼稚園でさまざまな体験をすることでお互いがたくましい骨太の姿に成長できるよう見守ってください。